応用代数学 ~群論入門~
応用代数学の講義メモ
確認しておくべき事項とか群論を学ぶ上で知っておくべき用語.
位数
群Gに含まれる元の個数を位数といい、と書く.元の位数
群Gの元xが生成する巡回群の位数を元xの位数という. すなわち、となる最小のnがxの位数. なお、有限群Gの元の位数は|G|の約数となる.n次対称群
nこの文字の置換操作すべての集合からなる群をn次対称群と言う. 従ってn次対称群の位数はn!である.n次交代群
n次対称群のうち、偶数個の互換の積で表すことのできる元の全体.部分群
群Gの空でない部分集合Hが群Gの演算によって群と成るときHをGの部分群と呼ぶ. さらに、群Gの元の部分集合HがGの部分群であることを示すには、Hのなかに単位元が存在し、 において、が成立することを示せばよい.群Gの部分群H, Kについて、HKもGの部分群であるとき、HK=KHである.
結構使える定理.準同型写像、準同型
2つの群G, G'の写像がを満たすときfを準同型写像もしくは準同型と呼ぶ. また、このとき、である. さらに、この準同型写像もしくは準同型全体の集合をと書く.右作用、左作用
右作用は左結合の演算、左作用は右結合の演算.軌道
集合Mの元mに対し、全ての群 G の元 をmに作用させた写像 の集合をG(m)と書き、mによるG-軌道と呼ぶ. なお、G(m)の要素は集合Mに含まれる. (演算が閉じている)軌道分解
軌道に関する同値関係とは、ある集合Mの元において、 となるような群 Gの元gが存在することであり、 集合Mをこの同値関係に基づいて分割したものをMのGによる軌道分解と呼び、 と書く.固定部分群
簡単に言うと集合Mの元のうち群Gのどんな元gを作用させても別の要素に移らない元からなるのこと. イメージとしては 正八面体の上下の頂点を親指と人差指で持って(この点をa, bとする)、それを軸として90°ずつ回転させるような頂点の入れ替え操作からなる群を考えたとき、 親指と人差指で固定している2点は当然どんな操作でも移動せず、位数4の巡回群である固定部分群Ga, Gbが見つかる. ちゃんと書くならば、群Gが集合Xに作用しているとき、その固定部分群を
として定義する.準同型定理
準同型写像が存在するとき、その核は正規部分群となる(次に示す). 従って、は準同型写像となる。このとき、は同型写像となる.第一同型定理
第二同型定理
右剰余類、左剰余類、剰余群/商群
群Gの元aをその部分群Hのすべての要素を右から作用させた
を右剰余類、
を左剰余類と呼ぶ. さらに、同じ同値類に属するGの元は同値であり、Gの元a, bが左剰余類に関して同値であるとき と書く. また、これはとなるようなHの元hが存在するということであり、 これを利用して群Gはとして類別することができる. これを 「群Gの部分群Hによる類別」、「剰余集合」と呼び、と書く. なお、注意すべきは、のとき、はに類別される.cf) Hが部分群であるだけでなく、正規部分群のときこれを「剰余群」または「商群」と呼ぶ. さらに剰余群G/Nにおける群演算としてを定義することができる. これは
として導くことができる. なお、商群の単位元と逆元はそれぞれ、である.指数
上記の類別の要素数を指数と呼び、と書き、 である.正規部分群
群Gとその部分群Hについて、Gの任意の元gでであるとき、HをGの正規部分群と呼ぶ. また、両辺に右からgを掛けると、 であるから、可換群の部分群は正規部分群となる.ラグランジュの定理
群Gの位数とその部分群Hの位数について、 の関係が成り立つ.共役、共役類
群G上の関係で、Gの元a, bについて、となるような群Gの元gが存在するとき、 aとbは共役であると言い、と書く. また、aと共役なすべての元を共役類と呼び、[a]と書く.共役部分群
共役の部分群バージョン. 群Gの部分群において、となるような群Gの元gが存在するとき、はの共役部分群であるという.任意の長さlの巡回置換はl- 1個の互換の積で表すことができる
大事な定理.任意の置換は同一の数字が出てこない巡回置換の積で表すことができる
大事な定理.
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